読書録ユトリ

主に小説・漫画の感想を綴っていくブログ。

【レビュー】設定が秀逸!乙一「ZOO1」の感想

今回、ご紹介するのは、「ZOO1」である。

 

作家は、あの有名な「乙一さん」。
乙一さんと言えば、「GOTH」「暗いところで待ち合わせ」など、普通の人では考えつかないようなアイディアを次々と生み出し、ヒットを連発している作家さんだ。

 

乙一さんは、高校生の頃から本格的に本を読み漁るようになったとの事だが、そう感じさせないほど、創造性に優れていると感じる。デビュー作である「夏と花火と私の死体」を読んでも、この時から奇抜な発想力は飛び抜けていたように思う。これを執筆した当時は、16歳だというのだから、その才能には驚くばかりである。

 

感想する話から、ダークな話まで、乙一さんの書く小説のジャンルは幅広い。
初期の頃は、切ない話と暗い話の差が激しかった事もあり、「黒乙一」「白乙一」と呼ばれていたぐらいだ。それだけ多種多様な話を思いつく事ができる稀有な作家さんだと思っている。

 

その乙一さんの短編小説「ZOO1」が、とにかく面白い。
ダークな話がほとんどなのだが、その設定が本当に素晴らしいのである。今回はその「ZOO1」の魅力について語りたい。

 

「ZOO1」の魅力

何なんだこれは!天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集が「1」、「2」に分かれて、ついに文庫化。双子の姉妹なのになぜか姉のヨーコだけが母から虐待され…(「カザリとヨーコ」)、謎の犯人に拉致監禁された姉と弟がとった脱出のための手段とは?(「SEVEN ROOMS」)など、本書「1」には映画化された5編をセレクト。文庫版特別付録として、漫画家・古屋兎丸氏との対談も収録。(背表紙より引用)

 

とにかく面白い。この短編をまとめた映画も制作されるなど、この「ZOO1」という小説は、ストーリーが秀逸なのである。

 

中でも、「SEVEN ROOMS」という話は、ずば抜けて面白かった。
目が覚めると、知らない場所に監禁されていた姉と弟の物語。自分達がなぜ監禁されたのか、犯人は誰なのか、一体何をされるのか…..何も分からないまま、手探りの状態で物語は進んでいく。この「何も分からない」という恐怖が、克明に描かれているのである。

 

次第に明らかになってくる自分達の置かれている状況。
その時に、姉と弟は、どういった判断を下すのか。常に絶望感の漂う物語で、個人的には、「黒乙一」の本領が発揮された怪作だと思う。

 

他の短編もダークな面が強いのだが、唯一、この「ZOO1」で明るい話が、「陽だまりの詩」だ。謎の病原菌によって、人類がほとんど絶滅してしまった世界の話で、ロボットが登場してくるファンタジーな話。主人公である老人が作った精巧なロボットと、その老人との心温まる話だ。こういう世界観を書くのが乙一さんは本当に上手いと思う。

 

他にも、表代作である「ZOO」という話も、世にも奇妙な物語のような感じで、個人的には大好きな話だ。とにかく「捨て物語」がないので、オススメなのである。

 

最後に

普段読書をしない方も気軽に読めるので、ぜひ読んで頂きたい。
乙一さんはこれまで数多くの本を出されているが、まずは「ZOO1」を読むのが無難かと思う。このZOOは2部作で、「ZOO2」という短編小説もあるので、もしハマったという方は、それもチェックしてみてはどうでしょうか。終わり。

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