読書録ユトリ

主に小説・漫画の感想を綴っていくブログ。

【レビュー】ショートショートの神様!星新一「ようこそ地球さん」の魅力

今回、ご紹介するのは、「ようこそ地球さん」である。

 

この作品は、「星新一」先生による短編小説である。
星新一先生と言えば、ショートショートの神様と呼ばれているほど、その発想力には定評があった人物だ。1997年に亡くなっておられるが、その功績は素晴らしく、今第一線で活躍されている小説家の中にも、星新一先生の影響を受けた作家は多い。

 

星新一作品の魅力は、なんといっても、その設定だ。
SFの短編を書かせたら右に出るものはいないと思うほど、アイディアが素晴らしかった。今まで、何十何百ものストーリーを生み出してきた星新一先生だが、どれもベクトルの違う話で、興味の惹きつけられる話が多かった。

 

そのあまりのアイディアの多さに、苦労している漫画家や小説家の方は多いのではないだろうか。というのも、せっかく自分が考えた奇抜なアイディアも既に星新一先生が書いていた、というパターンが、少なからずあるからである。

 

今回は、それほどまでに影響を与えた星新一先生の有名な作品である「ようこそ地球さん」の魅力について書きたいと思う。

 

「ようこそ地球さん」とは

文明の亀裂をこじあけて宇宙時代をのぞいてみたら、人工冬眠の流行で地上は静まりかえり、自殺は信仰にまで昇華し、宇宙植民地では大暴動が惹起している――人類の未来に待ちぶせる悲喜劇を、皮肉げに笑い、人間の弱さに目を潤ませながら、奇想天外、卓抜なアイデアをとりまぜて描いたショートショート42編を収録。現代メカニズムの清涼剤とも言うべき大人のための寓話集です。(背表紙より引用)

 

この作品には、なんと42篇もの短編が収録されている。
普通の短編小説では、せいぜい5~6話程度、多くても10話ほどのものだが、本作では、「42」という異例の作品が詰まっている。ただし、1話の長さは、5P程度のものから、何十Pもあったりと、幅は広い。42話の中でも、それぞれ毛色の違う作品が収められているのである。

 

私は、星新一先生の作品が、好きで、他にも10冊程度購入しているが、1番好きなのは、「ようこそ地球さん」だと思う。というのも、これに収録されている「処刑」という話が、群を抜いて面白かったからだ。

 

「処刑」は、罪人が主人公の未来のお話。
その世界では、罪人は別の惑星へと送られる。ある意味、完全な隔離状態だ。そこで、死ぬまで放置されてしまうのである。

 

唯一、渡されたのが、「銀の玉」で、これはボタンを押すと、水が飲めるシステムになっている。ただし、ボタンをある回数押すと、爆発する仕組みになっている恐怖の玉だ。いつ爆発するかはランダムで、もちろん罪人には、それを知るすべはない。罪人は、「いつ爆発するか分からない」という恐怖に怯えながらも、生き残る為に、ボタンを押し続けていかなくてはならない….というのが簡単なあらすじだ。

 

この話を初めて読んだ時の衝撃は凄かった。
因果応報というものを学んだ気がする。生きる事はどういう事なのか、人生観について、理解できたような気もする。

 

「水を飲むたびに、いつ爆発するか分からない玉」というアイディアを生み出せる星新一の想像力には、驚かされるばかりである。これは、この短編小説の中では、1番長いストーリーなのだが、読み応えがあるので、ぜひ読んで欲しい1作だ。

 

あとは、「殉教」という話もお気に入りだ。
死後の世界を知る事ができたなら、現世にいる人々はどうなるのか……という話で、このオチはなんとも皮肉がきいていて、面白かった。

 

他にも、面白い話がたくさんある。
星新一先生の凄いところは、どれだけ短いページの中でも、起承転結がはっきりしている、という事だ。冒頭から、その情景を思い浮かべる事ができて、中盤にはハラハラして、オチでスッキリする。これが、作品に共通しているので、常に面白さがあるのだ。

 

最後に

ショートショートの神様」と呼ばれた星新一先生の真骨頂とも言える本作。子供から大人まで、まさに老若男女楽しめる作品なので、もし興味がわけば、読んで頂きたいと思う。終わり。

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