読書録ユトリ

主に小説・漫画の感想を綴っていくブログ。

【仕事】貯金額の分だけ、人生は損?

『若いうちは自己投資しろ』

社会人になると、上司や先輩から、上記の言葉を耳にする事が多かった。

 

実際、僕も社畜時代には、飲みの席で上司から「若いうちに経験を積め」と、訓示めいた事を言われてきた。

 

確かに、人生を長期的に考えると、若いうち(特に20代)に、自分の為になる事をすべきだと思う。

 

資格の勉強をするのも良いし、旅行に時間を費やすのも良い。

お金があるに越した事はないが、若いうちに「貯金だけを目的」に生きるのは、人生もったいない気がする。

 

友人と遊ぶのも、飲みに行くのも、社会人サークルに参加するのも、若いうちにすれば、人として成長するのは間違いがないし、引き出しの多い人間になれると思う。

 

貯金額の分だけ、人生は損? 

 『もし急に亡くなったら、貯金額の分だけ人生損していないか?』

これは僕が社畜として働いていた際に、常々疑問に思っていた事である。

 

皆いつ死ぬか分からない。

明日、交通事故に遭うかもしれないし、重大な病気に罹るかもしれない。

 

仮に、僕が明日死んでしまうとする。

極論ではあるが、その時、貯金額の分、つまり遣っていない金額分だけ人生損しているような気がしてしまうのだ。

 

ついこの前、友人の父親Aさんが病気が原因で、亡くなった。

Aさんは、大手メーカーに勤務していたが、3年ほど前に、定年退職。

 

息子の面倒も見終わり、ようやく自分の時間を持てる筈だったが、その時間は余りにも短いものとなってしまった。

 

「世界旅行をしたい」

Aさんは、定年退職後に、よくそんな言葉を言っていたそうだ。

 

その話を聞いて、僕は色々と考えさせられた。

 

「ゆとりの戯言」と思われるかもしれないが、仕事に全てを捧げる人生は違うような気がする。

 

もちろん、人それぞれ物事の価値観や、優先順位は違うので、一概には言えない。Aさんのように、家族の為に、一生懸命に定年まで働くのも、素晴らしい事だ。

ただ、「世界旅行をしたい」という夢を叶える前に、亡くなったAさんの事を思うと、複雑な気持ちになった。

 

何かをするにはお金がいる。お金を得るには働く必要がある。それは当たり前の事だ。

 

ただ、その日暮らしで人生を謳歌してきた人と、サラリーマンとして仕事のストレスに耐えている人が、同じ年齢で亡くなると考えると、後者の方が人生を有意義に過ごせたような気がするのだ。

 

そう考えると、貯金額の分だけ、人生を損した気分になる。

人生設計は大事だが、長生きすることを前提に考えるのは、少し違うのではないか。Aさんの知らせを受けて、僕はそう思ってしまった。

 

要するに、明日死んでも良いと思えるように、日々を精一杯生きたいと思う。