読書録ユトリ

主に小説・漫画の感想を綴っていくブログ。

【レビュー】水野敬也「夢をかなえるゾウ」の魅力について

皆さんは「夢をかなえるゾウ」は、ご存知だろうか?
水野敬也さんが執筆した小説で、累計売上200万部以上を突破している大ベストセラーである。その人気ぶりからドラマ化もされたぐらいなので、読んでいる方も多いかもしれない。

 

私はこの小説が本当に好きだ。
落ち込んだ時に、この小説を読むと、やる気が漲ってくるから最高である。私は今まで何百冊も小説を読んできたが、おそらくベスト3に入るであろう面白さである。とにかく面白いのである。

 

「夢をかなえるゾウ」の魅力

 まず、ストーリーが素晴らしい。
基本的なあらすじだが、何かを成し遂げようと思っているけど、何も変える事ができずに燻っている会社員の前に、「ガネーシャ」と呼ばれる関西弁を話す神様が現れる。そんな「ガネーシャ」のアドバイスをきっかけに、どんどん成長していく主人公の姿を描いた小説だ。

 

これの何が素晴らしいのか?
それは「自己啓発書」をユーモアあふれる小説に変えてしまった点である。
これは作家である水野先生もおっしゃっていた事だが、どうしても自己啓発書はなんとも胡散臭いイメージがある。やれ「継続は力なり」とか、「目標を10個立てる」とか、だいたい自己啓発書にはそういった言葉が書かれている事が多いが、正直それを読んでもあまりピンとこない。簡単に言うと、頭に入ってこないのである。

 

自分とはまるで能力も違う成功者が、こうするべきだ!というアドバイスを書こうが、無能で落ちこぼれ代表の私のような者からすると、「ああ、この人は恵まれてるよなぁ」と、僻み根性丸出しで、他人事のように感じて、まるで感情移入できないのである。


それを、「ストーリー性のある小説」という形で変換し、世に出した水野先生のアイディアがとにかく素晴らしいのである。自分を変えようと思っていても、何もできない主人公に、自分を重ねる事ができる為、物語がスイスイと頭に入ってくる。また、ブログを読んでいる方はご存知だと思うが、水野先生は笑いのセンスがずば抜けている人なので、主人公とガネーシャの絡みが面白いのである。漫才のようなやり取りが続いて、そのしょうもなさに、思わず笑ってしまう事が多い。

 

肝心の、自己啓発の内容も、なるほどと思わせるものばかりで、本当に為になる。神様であるガネーシャは適当そうに見える奴だけど、そのアドバイスが実は的確で、関心する事間違いなしである。

 

この小説では、「靴を磨く」とか、「コンビニで募金する」とか、些細な事だけど、それを積み重ねる事で、成功へと繋がっていきますよ、というメッセージが込められている。なぜ、人は努力できないのか、夢を諦めてしまうのか…そういった事をさり気なく織り込ませているので、読後感は本当に素晴らしいものだった。

 

最後に

 現在、「夢をかなえるゾウ」はシリーズ3作品出ているが、個人的には、やっぱり1番最初がダントツで面白かったかなぁ。とにかく笑える小説なので、まだ未読の方は是非読んでみて欲しい。終わり。