読書録ユトリ

主に小説・漫画の感想を綴っていくブログ。

【レビュー】映画化もされた大ヒット作!湊かなえの「告白」が圧巻

今回、ご紹介するのは、「告白」である。

 

湊かなえさんのベストセラー小説だ。
2009年に本屋大賞を受賞した今作は、翌年、松たか子さんが主演で映画化もされて、大ヒットを記録した。私も映画を見て、この原作を購入したタイプである。この小説は、累計300万部以上の売上という事で、不況と呼ばれる出版業界の中では、異例のヒットを飛ばしている。

 

作者である湊かなえさんは、昼は主婦業をしながら、朝晩に執筆活動をされているという、少し変わったスタイルの作家さんだ。「主婦兼作家」というのは、珍しいじゃないだろうか。もともと、文章を書くのは好きだったそうだが、主婦業の傍ら、あれだけの大作を書き上げたのは、本当に才能がなければ、無理だったと思う。
テレビなどで拝見する限り、湊かなえさんは、飄々とした感じの方で、とてもあんなダークな作品を書くような感じには見えないので驚きである。

 

「告白」の魅力

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!“特別収録”中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』。(背表紙より引用)

 

ラストも含めて、賛否両論を巻き起こしたこの作品。
私が読んだ感想としては、「圧巻」の一言だった。冒頭、中学校の女性教師による告白から始まる物語。このような始まり方の小説は、色々と存在すると思うが、ここまで情景が簡単に思い浮かぶのもないんじゃないだろうか。1ページ目から、私は引き込まれてしまった。だいたい小説を読む場合、最初の10ページほどで、期待できそうか外れなのか、分かるが、これは、大当たりの部類だった。

 

映画を既に見ていたという事もあり、松たか子さんで脳内再生しながら読んでいたのだが、第1章「聖職者」の衝撃は凄かった。女性教師による告白から、明らかになる事件の残酷性。湊かなえさんは、こういった独白形式で進む物語は得意なのだろうと思う。同作者の「白ゆき姫殺人事件」も同じようなスタイルを取っていたが、一つの事件に対して、いくつかの視点で話を進めるという技術が優れている。

 

この女性教師の娘を殺した生徒の歪んだ性格も、妙にリアルだった。
ネタバレになるのであまり詳しく言えないが、犯罪に加担していた少年の家族の、異常な愛情も恐怖を感じるほどである。

 

ラストに関して賛否両論だったとの事だが、私は「賛成」の方である。
女性教師の取った行動は、納得できるものだったし、小説としても、あれが理想的な終わり方だったのではないかと思う。

 

最後に

大ベストセラーという事もあり、読んで損はなし。
本を読むのが苦手という方も、映画を見て頂きたい。独白形式のこの原作を、映像化した監督も凄いなと感じる。私はああいった系統の映画が好きだったので、非常に面白かった。という訳で、気になる方はぜひ読んでみて下さい。終わり。