読書録ユトリ

主に小説・漫画の感想を綴っていくブログ。

【レビュー】テレビドラマ化で大ヒット!石田衣良「池袋ウエストゲートパーク」

今回、ご紹介するのは、池袋ウエストゲートパークである。

 

私と同世代の方なら、絶対に知っているかと思う。
宮藤官九郎が脚本を務めたテレビドラマで、その魅力にハマった方は多いだろう。TOKIO長瀬智也が主演を務め、他には、加藤あい窪塚洋介坂口憲二佐藤隆太山下智久、妻夫木智、阿部サダヲ小雪…….などなど、今では考えつかないような豪華キャストが勢ぞろいした伝説的なドラマである。

 

なかでも、キングと呼ばれる「安藤 崇」役を演じた窪塚洋介の演技は物凄いカリスマ性があった。これは、原作を読んだ方なら、分かると思うが、実は原作のイメージとは程遠い。原作のキングは、もっと冷静沈着な人物として描かれている。ただ、このテレビドラマに限っては、この窪塚洋介の掴みどころのない奔放なイメージがピッタリとハマった。もう一人の主人公といっても過言ではないぐらい、キャラが際立っていた。

 

私は、好きなドラマはと聞かれたら、この作品を挙げる事が多い。それぐらい好きなのである。今回は、その原作である小説の魅力について書きたいと思う。

 

池袋ウエストゲートパーク」の魅力

ミステリーの「今」を読みたければ、池袋を読め。刺す少年、消える少女、潰し合うギャング団・・・・命がけのストリートを軽やかに疾走する若者たちの現在を、クールに鮮烈に描く大人気シリーズ第一作。青春小説の爽快さとクライムノヴェルの危険さをハイブリットした連続ドラマ化話題作にして、日本ミステリー連作の傑作。(背表紙より引用)

 

池袋西口公園近くの果物屋の息子である「真島誠」が主人公。
「池袋のトラブルシューター」とも呼ばれる真島誠が、仲間達と協力しながら、次々と依頼される難事件を解決していく物語だ。

 

まず、この小説は、基本的に「真島誠」の語り口調で進んでいく。
堅苦しい文章は一切なく、かなりポップな文体なので、そういうのが嫌いな人でなければ、読みやすいと思う。逆にその「ポップな語り口調」という点さえクリアできれば、本作を楽しめる事は間違いないと思う。

 

作者である石田衣良さんが執筆された時は、90年代だったので、少しギャップを感じるかもしれない。今とは時代背景が全く違うのだが、そのギャップも込で、楽しんで欲しいと思う。

 

本作では、4篇の短編が収録されている。
やはり、表題でもある1篇目「池袋ウエストゲートパーク」が飛び抜けて面白い。「ストラングラー(首絞め魔)」と呼ばれる犯人を、真島誠たちが追い詰めていくストーリー。

 

単純に犯人を捕まえて終わりではなく、二転三転しながら、話は進んでいき、ラストにはあっと驚く展開が待っている。物語自体は、切なくて重い話なのだが、ポップな文体のおかげで、気楽に読めたというのは、良い点なのかもしれない。

 

テレビドラマのイメージが強いので、どうしてもその役者を想像しながら読んでいたが、これが見事にハマり役ばかりで、スタッフは凄いなぁと感心したものである。

 

単純に、ミステリーが好きな人が読んでも、この作品にはハマるだろう。
90年代といえば、「チーマー」と呼ばれる不良少年たちが話題になっていたかと思うが、そういった世相を反映したかのように、この小説でも、若者特有の危険さや脆さといったものが、鋭く書かれている。

 

同作品は、シリーズ化されているが、実はまだ私はこの1作目しか読めていない。他の作品も面白いようなので、また読後に感想を書ければと思う。

 

最後に

テレビドラマが好きだった人は、もれなく読むべき作品だ。
他にも上述したように、ミステリーが好きな人にはオススメである。割とボリュームのある本だが、スラスラと読めるので、ぜひ読んでみて下さい。終わり。